魚を糠漬けにしてできるへしこ。
魚を糠漬けにするとき、漬け込むときに空気が入らないよう、樽の奥へ圧し込ん(へしこん)で重石をして熟成させます。
この「圧し込む」がなまって「へしこ」と呼ばれるようになったそうです。
そんなへしこが生まれたのは福井県の若狭地方。奈良時代以前から、若狭湾に面し、海の幸に恵まれた若狭一帯は多くの魚介類が獲れます。
しかし冬になると積雪が多い地域。日本海は時化て漁に出られない日が多く、食料確保が困難になります。
そんな厳しい冬を乗り越えるため、漬物や乾物など保存食が発達していきました。その中でへしこが誕生したのです。
魚を長期保存できるへしこは、冬の貴重なタンパク源として重宝されていきました。
へしこ作りが始まるのは秋から冬にかけて。圧し込んだへしこは最低でも翌年の夏の土用を過ぎるまでかかり、福井県では昔から「土用を越さないとへしこにならない」といわれています。これは夏の暑さで発酵が進んで熟成されるからです。
しっかり熟成させたへしこは旨みが凝縮され、今もなお福井県で愛されている県民フード。一度ご賞味いかがでしょうか。