さて、適正な体重を考えるとき、最近では体重と身長から肥満度を示す体格指数:BMI(Body Mass Index)が用いられます。
BMIは体重(kg)÷身長(m)2で計算され、BMIが22となる体重が標準ないし適正体重と呼ばれ、統計的に最も病気にかかりにくいとされています。目標のBMIは18~49歳で18・5~24・9、50~69歳で20・0~24・9、70歳以上で21・5~24・9と幅があります。
この目標を下回れば「低体重:やせ型」になりますのでダイエットは必要ありませんし、むしろ健康を損ねる可能性があります。また、年齢が進むほど目標の下限が高くなっており、高齢者ほど栄養を摂ってやせすぎに注意しなければならない事が分かります。
一方、 BMIが25を超えると年齢によらず「肥満」となり、肥満は糖尿病や高血圧、脳卒中、心臓病などの重要な危険因子となることは、これまで繰り返し述べてきたところです。
BMIが25の場合、身長150㎝では体重は56・3kg、160cmでは64kgになりますので、それ以上では健康のために正しいダイエットを実行しましょう。その効果を見るには体重が簡単で分かりやすく、毎日はかります。
リバウンドを防いで長続きさせるには、1週間で体重の1%程度を落とすのが良いとされています。それ以上は過ぎたるは及ばざるが如しです。
皆さんの中で若い頃と体重は変わっていないのでダイエットに成功していると思っている方はいませんか?
個人差はありますが、年齢とともに筋肉の量は減ってきますので、体重が変わらないということは実はその分、体内の脂肪が増えていることになります。
基礎代謝は何もせずじっとしていても、生命活動を維持するために生体で行われている活動で必要なエネルギーのことですが、筋肉はその約20%を占めています。
筋肉の量が減ると基礎代謝が減りますし、運動による筋肉のカロリー消費も併せて減りますので、太りやすく痩せにくい、そして体重が減ったとしても体脂肪は減らない体になってしまいます。
最近、サルコペニアという言葉が注目されています。ギリシャ語の筋肉を表す“サルコ”と、喪失を表す“ペニア”を組み合わせた言葉で、筋肉量が減少し、筋力や身体機能が低下した状態です。
転倒・骨折、寝たきりなどの原因になりますし、手足の筋肉だけでなく飲み込みに必要な筋肉が衰えると嚥下機能も低下するため、サルコペニアを予防することは高齢の方ほど大切です。そして、脂肪が多く筋肉が少ない状態は「サルコペニア肥満」と呼ばれ、肥満とサルコペニア、両方のリスクを併せ持つため、特に注意が必要です。
その対策ですが、筋肉を落とさない、あるいは増やすためには、その元となる十分な栄養、特にタンパク質の摂取が大切です。1日に75~90gのタンパク質を食べましょう。
そして、その栄養を筋肉に変えて体力を維持し筋力を増やすためには、やはり運動が必要です。筋肉を増やす点からは筋力トレーニング(筋トレ)が有効です。
そして、毎日のウォーキングやラジオ体操などの低強度(軽く息が弾む程度)の有酸素運動を合わせて行います。
運動を伴わない食事制限だけのダイエットは危険を伴うことも理解していただければと思います。