【人生100年時代の健康維持】日々是健康☆医食同源。毎日の食事が自分の基礎をつくりだす!

年齢とともに健康について考えることが増えてくるシニア世代。人生100年、飽食の時代に、つい健康食品やサプリメントに頼りたくなる人もいるかもしれませんが、 本当に大切なのは、私たちの体を作っている毎日の食事なのです。
2019/06/03

おばあちゃんから受け継いだ生活の知恵

冷たいものは身体を冷やす

台湾人は子どもの頃から、「冷たいものは身体を冷やすので食べてはいけない」とか、「寒気がするときはしょうが湯を飲んで体の中から温めなさい」といったことを、生活のなかでしつけられているんです。

 

病気になったら病院へ行って治すというのではなく、病気にならないように、毎日の生活のなかで自分で体の調子を整えるという考え方ですね。

 

こうしたことは、祖母から母へ、そして私へと伝えられてきました。

 

家族だけでなく、親戚や近所の方々から聞かされることもありました。まさに「おばあちゃんの知恵」として、生活のなかに根付いていたんですね。

 

日本でも昔は同じようなことが言われていたのではないでしょうか。

 

でも、核家族化によって、そうした生活の知恵はだんだん受け継がれなくなりました。実は台湾でも同じで、今の若い人のなかには、こうした考え方を知らない人も増えています。

 

昔は生活のなかで自然と身に付いていた健康に生きるための知識が、今では積極的に学ばないと得られなくなったのは本当に残念なことです。

 

とはいえ、今からでもできることはたくさんあります。そもそも、生活の知恵というくらいですから、特別な知識や技術は必要ないんです。誰もが毎日やっていたこと。

 

それくらい簡単なことばかりです。ほんの少し生活に対する考え方を変えるだけで、健康で楽しい毎日が手に入りますよ。

体に良い食事とは?

旬の食材を使った手作りの料理が健康のカギ

そんな生活の知恵のなかでも、何よりも大切にさえているのが、「日々の食事」です。今では風邪ひとつひかない私ですが、実は小さい頃は体が弱かったのだそうです。

 

たくさんいる兄弟のなかでも、一番元気がない子どもだったと聞いています。そんな私に、祖母は毎日、体に良い食事を作ってくれました。少し大きくなってからは、自分自身でも食事に気を付けるようになりました。

 

体に良い食事――それは、高い食材でも特別なメニューでもありません。地元で取れた旬の食材を使った、手作りの料理です。

 

「なんだ、そんなことか」と思うかもしれませんが、実際、そうした食事を毎日食べるうちに、体はどんどん健康になっていったんです。

 

実は、これはちゃんと理に適っています。例えば、地元で取れた食材というのは、つい数時間前まで生きていたということです。

 

まだ酵素が失われていないうちに体に取り入れることで、エネルギーをたくさん得ることができます。旬のものならビタミンもミネラルがたっぷり入っているわけです。さらに、旬というのは手をかけなくても育つので、例えば野菜なら化学肥料などが使われていない可能性が高い。

 

こうした食材が体に良くないわけがありません。

 

今はスーパーに行けば一年中どんな食材も手に入ります。でも、そうした食材に栄養がどれくらいあるかはわかりません。

 

「トマトにはリコピンが含まれているから、毎日食べるのが体に良い」などとテレビでは言っていますが、それ以上に体に良い野菜は、その時期畑に植えられているものだと思います。

薄味でもおいしいと感じる理由

調味料は控えめに

旬のものが体に良い理由はほかにもあります。それは、料理に多くの調味料を使わなくてもすむことです。

 

私の料理は本当に薄味で、塩なんてそれこそほんの少ししか使わないんですが、それは「健康に悪い」と考えているからではなく、使わなくても充分美味しいからです。

 

旬の食材は味がしっかりとしているので、調味料があまり必要ではないんです。

 

ミネラル分があまり含まれていない食材を使うと物足りなく感じるので、どうしてもいろんな調味料を入れたくなります。歳をとると高血圧になる方が増えますが、健康のために薄味をと思うのであれば、調味料そのものではなく、食材に目を向けてみてはいかがでしょうか。

 

どうしても薄味が物足りないという人は、献立のなかの一品だけを味付けの濃いものにするという方法もあります。

 

ただしメインの料理ではなく、付け合わせや漬物などがいいですね。いろんな料理を食べるなかで、時々アクセントが欲しいと思ったときに箸を伸ばすと、食事全体の満足感も高まるのではないでしょうか。

 

ちなみに、調味料も手作りすれば塩分を調節できます。例えばお味噌だって自分で作れば塩分を控えめにすることもできるし、余計な添加物も入れなくていい。

 

しかもきちんと発酵させた健康に良いものが作れます。実はお店で売られているものは、アルコールを入れたり加熱たりして発酵を止めているのです。

 

その方が味を変えずに長く保存することができるからです。なので、発酵食品といえっても菌が死んでしまっていることが多い。自宅で手作りすれば「生きている味噌」が毎日食べられます。

 

味噌の仕込みなんて難しいと思うかもしれませんが、昔は味噌でも梅干しでも自宅で作るのが当たり前でした。

 

どこにでもいる普通のおばあちゃんたちやおばちゃんたちが毎年やっていたものが、今の人に作れないわけはありません(笑)。気軽な気持ちで、ぜひ一度挑戦してみてください。

たまには外食もインスタント食品もOK

カップラーメンなどジャンクフードは減らす

こうしたちょっとした心がけで、体に良い食事は作れるわけですが、とはいえ、たまには「今日は違ったものが食べたいな」と思う日もあるでしょう。

 

そういう私もこの間、NHKの朝のドラマを見て急にカップラーメンが食べたくなって、いろいろな味を買いこんでしまいました。もちろん、おいしくいただきましたよ(笑)。

 

でも、急にそれで体調を崩したりはしません。毎日ちゃんとした食事を食べて体の基礎ができていれば、たまにそうでないものを口にしても大丈夫なんです。

 

いろいろなお付き合いで外食をすることもあるし、お酒を飲むこともありますが、そんな時は何でもおいしく食べるようにしています。食事を楽しむということも健康法のひとつ。

 

「きっと体に悪いに違いない」と思って口にしたものが、体に良いわけがありません。「これは食べちゃいけない」「あれは体に良くないからやめておこう」とがんじがらめになってしまうと、食事そのものが楽しめなくなってしまいます。

 

「拘り(こだわり)」は病気の元。難しく考えすぎずに、毎日の生活のなかでできることをしていけばいいのです。

 

それに、そこまで心配しすぎなくても、健康な食事に慣れてくると、体が自然とそれを欲するようになります。

 

うま味調味料たっぷりのジャンクフードが大好きだった人が、旬の食材を使った料理を毎日食べるようになると、たまにジャンクフードを食べたときに「味が濃すぎる!」と感じるのだそうです。人間の体って不思議ですね。

家にストック食材があるとこんなに便利!

ストック食材があると便利

食べておいしいと思うものが、本当に体に良いもの。逆に言えば、体が本当に欲しているものを探していくとおいしいものにたどりつくわけです。

 

しかし、現代人は毎日忙しいので、ついつい外食が続いてしまったり、食べるものを買って帰ったりするのもわからなくはありません。

 

手作りが面倒だと感じるだけでなく、家に帰ってから一から食事を作るのでは空腹をがまんできないといったことも理由のひとつかもしれませんね。

 

我が家ではそんなときのために、ほんの少し手をかければすぐに食べられる食材をたくさんストックしてあります。

 

たとえば、ニンジンやもやし、カボチャの水煮、牛筋を煮たもの、鶏の煮こごり、にしんを甘辛く煮付けたもの……こうしたものがあれば、短時間で美味しい料理ができあがります。

 

自分で食べるだけじゃなく、急なお客様が来たときにも役に立ちます。ばったり会って「立ち話もなんだから」とお招きしたお友達に、パパッとにしん蕎麦をふるまうこともできますよ。

 

肉や魚などは買ってきてすぐに下処理を兼ねて作ることが多いのですが、特別に時間を作るのではなく何かのついでにやってしまうこともよくあります。

 

ニンジンが一本余りそうなので、今日の食事を作りながら、コンロの空いている方で水煮を作っておくという具合です。

 

ちなみに、水煮は手軽にできて美味しさを保つことのできる調理法として、本当にお勧めです。

 

綺麗に洗って煮沸消毒したビンのなかに、食材を入れ、瓶の口ぎりぎりまで熱湯を入れたら蓋をゆるく締めて鍋で煮立たせます。

 

沸騰したら瓶の口をきつく締めてさらに煮ていきます。以前は冷凍保存をしていたこともありますが、細胞が壊れてしまうからか、どうも美味しさが損なわれるような気がしていました。水煮ならいつ空けても美味しさはそのままです。

楽しみながら続けていくこと

ベランダ野菜で食卓に彩を

こうした食材に、ベランダで育てている野菜を摘んできて加えれば、何品もの料理があっという間に出来上がります。

 

ベランダ栽培、気軽でいいですよ。とびきり新鮮だし、ほんの少しだけ緑のものが欲しいという時にも便利ですし。なにより、少しずつ育っているのを見るというのは本当に楽しいものです。

 

ニンジンも切り落とした部分をちょっと水につけておくんです。伸びてきた芽はハサミでカットして料理の彩りに。「もったいないから」ではなく、「可愛いから」。

 

そうやって、生活を楽しんでいるんです。

 

ご飯は白米に少しの炒り玄米を混ぜて炊きます。玄米ご飯は体に良いけど、口当たりが良くないし、水を十分に含ませたり火加減を工夫したりと手間がかかります。炒り玄米入りのご飯なら、手軽に玄米の栄養を取れるだけでなく、香ばしさも加わります。

 

あとは、小さい頃からの習慣で毎日食べている蒸し大豆を添えるのが、我が家の定番の夕食です。大豆は台湾では本当によく食べられている食材のひとつですが、サポニンには抗酸化作用もあり、たんぱく質や食物繊維も豊富です。

 

味つけせずそのままいただきます。

 

「レンジでチンするだけのインスタント食材」や、「これひとつで味が決まる調味料」を使わなくても、ちょっとした工夫で手軽に素早く食事は作ることはできます。

 

食品メーカーさんは「これは便利!」だとCMでたくさん流していますが、そこまで必死に便利にしなくても、毎日の生活はまわっていくと思いませんか?

 

おいしくて健康によい食事は、そこまで手間がかかるものでも、お金がかかるものでもありません。

 

無理をしないで、楽しく続けること。生活の知恵ってそういうものだと思います。