【人生100年時代の終活】終の住処である「お墓」は、いつどのタイミングで用意すれば良い?

「人生100年時代」というキーワードが、にわかに浮上して来ました。 厚生労働省では「人生100年時代構想会議」なるものが平成29年9月に発足され、以後9回にわたって繰り広げられています(令和元年6月現在)。 それは、いかに健やかに100年を生き抜くかに目を向けたもの。しかし100年という長い年月を健康に過ごせるようになればなるほど、自分のお墓を用意するきっかけ作りが難しくなったと感じる人もいるようです。お墓選びは、どのタイミングがベストと言えるのでしょうか。
2019/06/13

お墓について考えるべきタイミングはいつか

お墓の準備には気力体力、資金力など様々なチカラが必要

100年生きるということは、自分がこの世を去る時を想像できない時間が長くなるということ。

 

90歳を超えてお元気な方も多く見かけるようになりましたが、自分のお墓を準備する気力が残されているのは何歳頃までと言えるのでしょうか?

 

お墓を購入する資金力や、条件にあうお墓を探してあちこち見て回る体力は、その時どれくらい残されているのでしょう。

お墓選びは、元気なうちにはつい「まだ早い」と後回しにしがちですが、本当に必要になった時に、準備するために必要な様々な力が落ちていることが多いものです。

 

そしてもうひとつ大切なもの、「会話力」が衰えている可能性も考えておかねばなりません。

 

お墓選びでトラブルに発生するケースのひとつとして、親が子に何も知らせず黙って購入してしまった、というものが少なくないからです。

 

業者の営業トークに対抗できる力が衰えているところに、親子の会話が減っていたがためにうまく相談ができず、断りきれずに購入してしまうようなケースも散見します。

お墓を選ぶにも体力や気力が必要

"親子で話し合う"ことから始めたい

お墓の話は、親子ともども「元気なうち」に

ベストと言える時期の見極めは各家庭で異なるでしょうが、

 

・子供が、墓について対等に相談できるほど成長した時
・自分の知力、判断力、体力、そして資金がある程度満たされている時

 

この二つが揃ったら、普段からお墓についての話し合いの場を持ち始めても良いでしょう。

親は時として、子供に迷惑をかけたくないばかりに、自分達だけで考え、お墓を決めてしまうことがあります。

 

そしてある日突然「お墓を買ったよ」と子供に告げるのです。

 

ここで一悶着起きる家族を少なからず見かけます。

よくあるのは、子供がお参りをできない場所に購入してしまっているケースです。

 

親としては「お参りに帰ってくるのも大変だろうから」と、遠方の永代供養墓や散骨などを選んで一安心しているのですが、子供からすれば「たまには墓参りくらいしたいのに」と、言い切れぬ思いを抱くことになったりします。

 

家族の意見を聞かずに決めてしまった親に怒りをぶつけてしまう場合もあり、小さな問題とは言えません。

 

お墓を選ぶ時には、自分が入ることだけでなく、お参り手となる家族がその後どうしたいのかもきちんと聞いてからにしたいものです。

 

そのためにも、お互いに話し合う機会を時々は持ち、気持ちを擦り合わせて行く時間が必要なのです。

普段から話し合いの機会を持っておきたい

購入時期の見極めが必要な場合もある

生前購入か没後購入かで注意点が変わる

お墓を購入する時期に、特に定めはありません。

 

ただし、生前に購入する場合と没後に購入する場合とで大きく変化する点があります。

 

「税金」です。

 

お墓も仏壇も「祭祀財産」として扱われ、生前に購入すれば非課税となるのですが、現金をそのまま残すと、当然ながら相続税の課税対象になってしまいます。

 

節税を考えるなら、親も子も負担が軽くなる生前購入の方がメリットがあると言えるでしょう。

購入のタイミングでもう一点注意したいのは、公営墓地に申し込みたい時です。

 

行政が管理する公営墓地は比較的安く、宗派の違いなどを気にする必要がないため、希望者は年々増えつつあります。

 

しかし一年中申し込める訳ではなく、毎年決まった時期に期限を設けて申し込みを受け付けている墓所や、空きが出た時だけ募集する墓所など、寺院や民営の霊園に比べると門戸は少々狭めです。

 

大きく違うのは、生前の申し込みができる場合とできない場合があること。その他、申し込みに際しての条件が市区町村によって異なりますから、公営墓地を希望するならば、なるべく早めに居住するエリアの条件を確かめておく方が良いでしょう。

購入・契約に時間がかかる場合もある

家族が気持ちよくお参りできるお墓選びを

お墓は、そこに入る自分のものであり、残された家族のものである

昔はお墓参りと言えば、お彼岸やお盆、毎年の命日に月命日と、訪れる機会が様々にありました。

 

そのたびにご先祖様の話を聞き、子供達が自分のルーツを垣間見て刺激を受ける、という場面もよく見かけたものでした。

 

お墓とはもともと、そこに入る自分のものというよりは家族、親族のものであり、親族が集うきっかけを提供する存在でもあったわけです。

現代では忙しさも距離もあって、そう度々お墓を訪れることができない人が多くなりました。

 

そのため、親は子をおもんぱかって「子供の負担にならない墓」を探してしまうのです。

 

しかし、どんなお墓なら子供の負担にならないか、は、子供自身に直接聞いてみなければ分かりません。

 

お墓は、そこに入る自分たちだけのものではなく、残された家族が思いを寄せる大切な場所でもあるのです。

今は永代供養墓(霊園が管理や供養をしてくれる墓)が増え、これだけでも子供の負担は十分に軽くできるようになりました。

 

多くは管理の期限を設けているので、その間に子供自らがお墓を今後どのように継続したいかを考える余裕も作れます。

 

お墓を用意するタイミングは家庭ごとに異なると最初に書きましたが、できれば親子で気持ちを話し合い、互いの希望をすり合わせたうえで年齢を鑑みて、候補地を探し始めるのがスムーズな流れです。

 

お互いの希望が分かっていれば、万が一事故や病気などにより急に準備が必要になった時、家族を悩ませることも無くなります。

亡き家族に会いたい気持ちも大切に

お墓はいわば「終の住処」。

 

ここ、と思えるタイミングで、家族が互いに納得できる墓所を選ぶためには、早めの準備を始めることが肝心です。