求められる「社会とのつながり」
たとえば仮に、22歳で就職して60歳で企業の定年を迎えるとして、その間に働いた時間と、定年後から83歳(日本人の60歳男性の平均余命23年(女性は28年)、平成23年簡易生命表/厚生労働省)までの自由時間を単純計算すると、
・サラリーマン時代の労働時間
8時間(1日の労働時間)×5日×50週(年間週数)×38年=7万6000時間
・定年後の自由時間
14時間(睡眠や食事入浴時間を引いた1日の時間)×365日×23年(男性平均余命)=11万7530時間
となります。
38年間という長い年月を、会社員として働いてきた日々を思い返してみてください。
学校を卒業して、入社したばかりで右も左もわからない新入社員時代。前だけをみて夢中で仕事をした30代。会社に十分貢献したという実感があった40代。そして、熟練の50代。それらが、「約7万6000時間」という時の流れだったのです。
定年後には、それ以上の「時間」があなたを待っているのです。いかがでしょうか?
「えっ!そんなに時間があるの?」と思われたでしょうか。
この定年後の膨大な時間量をみれば、もはや「余生」などとは言っていられなくなります。今日、定年後は人生のおまけではないのです。
今後さらに日本人の平均寿命は延びていきます。つまり、定年後に転がり込んでくる大きな財産(約11万時間)を上手に使っていくということが、今や私たちが生涯を通じて「充実した人生」を送る上で極めて重要になってきているのです。
しかもこの定年後の自由時間は、すべてあなたが好きなように使うことができるのです。今日の60代の方々は、まだまだ非常に若々しい人ばかりです。若々しい時点でリタイアできるからこそ、これからの時間でできることもたくさんあるのです。
ひと昔前なら、第1線を退いてすぐに人生を終えていたかもしれません。
定年退職後、10年くらいの期間を好きな趣味や孫を相手にして過ごす程度で十分でした。
ところが現在は、食生活が改善され、医療も急速に発達して、多くの人々が人間ドックを受診し、フィットネスクラブに通っています。
ひと昔前より、健康で長生きすることが容易になっています。
したがって、人生を終えるのはもっとずっと先のことなのです。
定年後の生活が30年以上、やがて40年に及ぶことも十分にあり得るところまできています。
これはまさに第2の人生と呼ぶに値する時間量です。当然、孫の相手だけではすみません。孫も成長して大人になってしまいます。
そう考えると、サラリーマン時代はまだ「前半生」でもあったのです。定年というのは、人生の折り返し地点であるとともに、第二の人生のスタートラインなのです。
定年後は、それなりの年金も入ることから、現役時代のように「稼ぐ」ことだけに軸足を置いて考える必要はありません。
今後は、自分がやりたかったことに時間を使ったり、自分が充実感や存在感を得られるように、仕事をして生きていくことができるのです。
そのことが、若さを保ち、よりよい後半生を創造していく原動力にもなります。いかがでしょうか。これはとても魅力的なことではないでしょうか。
そのような状況の中で、私は自信を持ってあなたに「講師デビュー」をすることをおすすめします。
これから、「講師」を強くおすすめする「具体的理由」と、「どのようにして講師デビューするか」という具体的方法について詳細にお伝えしていきたいと思います。
あなたも講師デビューしよう!
あなたも講師デビューできる
少し自己紹介をさせていただきます。
私は28年間サラリーマンでした。卒業後、日産自動車株式会社グローバル本社に入社し、営業部、マーケティング本部、経営企画部、地域戦略部、人材開発部、系列ディーラー出向等を経験しました。28年間のサラリーマン生活の中で、私も多くのサラリーマンの方々と同じように、悲喜こもごもを経験してきました。
どんな経験であっても貴重なものだと思います。それはその人だけの唯一無二のものだからです。頭だけで理解した薄っぺらな知識とは次元が異なるのです。その時、その場で、その時空間において、見て、聞いて、考えて、判断して、行動し、結果を知ったというリアルな体験は素晴らしいものなのです。
ですから、現在サラリーマンのあなたも自信を持ってください。過去を振り返れば、ずいぶんといろいろな経験をしてきたでありませんか。あなた自身の経験に自信を持ち、「講師デビュー」への道の第一歩を踏み出してみましょう。
私も以前、「講師」と聞くと、“自分とは少し住む世界が違う人”というイメージを持っていました。
ところが、実際に講師になってみてはじめて気づいたことがあります。
それは講師と言っても、ごく普通の平凡な人が大多数であるということでした。
講師にも、「研修」があります。どんな研修かというと、セミナー会社が自社に登録している講師の方々向けに、そのときどきの旬なテーマや業界についてレクチャーしてくれるというものです。
私も、このような研修があるたびに参加していますが、その受講生はもちろん全員講師ばかりです。そこに集まった数十人の講師の方々はみな、ごく普通の人たちばかりです。
それもそのはずです。講師と言っても、元はサラリーマンやOLをしていた人たちだからです。講師になるには、何か特別の資格が必要なのではないか、という方もいらっしゃると思いますが、そういうことはまったくありません。講師に資格は必要ないでのです。
間もなく定年を迎える方にとっては、自らの人生戦略を考え直すちょうど良いタイミングではないでしょうか。
これからは、所属価値にこだわるのではなく、個人の専門価値や自己実現志向に価値観をシフトしてみませんか。
そこで、定年を迎えるあなたにぜひおすすめしたいのが、「講師」として世の中に出ること、つまり「講師デビュー」です。今、世の中には、経験豊富な人から話を聞きたい、知恵を身につけたい、技術を教えてほしい、知見を伝えてほしい、という多種多様なニーズが現れてきており「講師」という立場は非常に「敷居が低く」なってきているのです。
このニーズに対して、「講師」としてあなたなりに応えていくことで、社会としっかりとつながることができるのです。
あなたは、これまでの約40年間、それに値する知識や能力、経験、技能を蓄積してきているはずです。私が、定年後のあなたに「講師デビュー」をおすすめする大きな理由はここになります。あなたには、「講師デビュー」するだけの「資格」が備わっているのです。
次に、あなたに「講師デビュー」を強くおすすめする理由を、具体的に見ていることにしましょう。
講師になることで得られるメリットとは
定年された方が、「講師デビュー」することで得られるメリットは、実にたくさんあります。「やるメリット」をいくつか挙げてみましょう。
これまでの「経験」と「知識」が使える
「経験」と「知識」を武器に
何と言っても一番のメリットは、あなたがこれまで培ってきた「経験」と「知識」が丸ごと使えるということです。あなたの中にある「経験」や「知識」、「ノウハウ」、「技術」をそのまま活かせるからです。
何かを行なおうとするとき、蓄積しているものを使うのが最も効率がいいものです。
講師も同じで、あなたの得意分野を語ればいいのです。ちなみに、私の場合もまったく同じであり、サラリーマン時代に蓄積してきた知識やノウハウをお伝えしています。
「感動」をもらうことができる
私にはこんな経験があります。
それは、まだ講師をはじめて間もない頃のことでした。コミュニケーションに関するセミナーで、4つのコミュニケーションタイプの話を説明した後のことでした。休憩時間に、1人の女性が私のところに来て、「今のお話で自分自身がよくわかったような気がします。
これまで私は、いつも周囲から、“女性なんだから・・・”とか、“もっと控えめにするべきだ”と言われてきました。自分でもそうしなくてはいけない、といつも頭にあったのですが、今のお話を聞いて、私が自分がコントローラータイプだということがわかったんです。
それで、すごく腑に落ちた気がするのです。
やっと、今までの自分がわかったように思えるのです。これからは自分に、“いいんだよ、今のままで”と言ってあげることにしたいんです」と言いました。私は軽い感動を覚えました。
彼女は、「これからは自分を大切にしている」と言っていた・・・これはとても素敵なことに違いない、と感じることができたからです。
「講師」をしていると、自分が相手に伝えたことの影響を目の当たりにすることがあります。
そして、まさにその「場」に自分が居合わせていることに、逆に心が動かされてしまうことがあるのです。そんな感動できる場面に遭遇できるというのは、とてもすばらしいことだと思っています。
意外に大きな「収入」になる
講師料は意外と大きな収入に
一般的に、「講師」収入は90分間のセミナーや講演でも、5万円~20万円といったところが相場です。
デビュー直後の講師はもっと低くなる可能性はありますが、ほんの90分間でこれだけの収入は大きいと言えるでしょう。
(もちろん、源泉徴収がありますが)。
日々の生活費は年金で十分足りている、という方もおられるでしょう。
しかし、自分一人の力でお金を稼ぐということは大きな自信となります。これは、会社員時代にはなかった感覚です。
これは、あなたの経験に基づいた「話」にそれだけの価値があるということです。
つまり他人がその価値を認めているということです。これ以上の充実感は、他ではなかなか味わうことができません。
好きなときに活動できる
「講師」という職種は、サラリーマンのように毎日出勤するということはありません。
それこそ定年後であれば、好きなときに好きなだけ活動すればいいのです。
1週間に1回でもいいでしょう。主催者との調整も必要ですが、あなたの生活の中で好きなときに「活動日」を設ければいいのです。
そのような意味では、きわめて自由度の高い職業と言うことができます。
自己存在感を感じることができる
「人に教える」ということは、たいへんなことです。
それに値する「経験」、「知識」、「ノウハウ」、「技術」、「知見」を、あなたは備えているという証拠だからです。
それは、人のため社会のためになっているということです。
これまでの会社員時代、上司から指示された通りにコツコツと仕事をこなしてきたような方であれば、定年後に「講師」となって人を「教える」立場になると、人生が輝いていると感じるはずです。
「講師」という立ち位置は、それだけのインパクトがあるのです。
あなた自身が「成長軌道」に乗るそしてそれは、気になる書籍を読んだり、図書館に通って、さらなる知識や教養を身につけていることにつながっていきます。
それは、あなたをさらなる成長軌道に乗せることになります。
その結果、「講師」としてのあなたの実力をレベルアップさせていくはずです。
「講師」をしていくには、さまざまな「インプット」が大切になります。よりよい内容を、聴く方々にお伝えするためには、新しい知見を取り入れることが必要だからです。
生活に「ハリ」が出る
定年後に講師活動をするようになると、生活にほどよい緊張感が生まれます。
先に述べたように、講師として満足できる講義をしようと考えて、自らを高めたいという意識が働くからです。
これが生活に「ハリ」を与えることになるのです。
いかがですか。
あなたが「講師デビュー」することには、これだけ多くのメリットが待っているのです。