私は男性のための美容の本を書き下ろしたことがあります。
タイトルは『モテル男のためのエステ講座』という通販の教材用のテキストです。
最初に考えたのは、若い男性が〝きれいになりたい〟という願望のレベルをどの程度におくかということでした。
マーケティングもして、データもあるのですが、私なりに分かりやすく表現するのは非常に苦しい作業でした。
私の提唱する魅力学が土台になっているのですが、なにしろ若い世代の男性のメイクなどは、ヘアもビジュアル系と呼ばれるミュージシャンだと、女性の領域を超えたヘアメイクで身を固めて、果たして美しいのやら、怪奇なのか判断に迷う凄さですから困ってしまいます。
それに、モテる理由の原理原則を作ることにも苦労しました。
異性に好かれたい、注目されたいのは分かるのですが、それも主観的なものであり、それを定義づける説明となると難しく呻吟しました。
女性の場合は、モテたいとなれば、美容、心理、それこそ魅力学のすべてを尽くせばいいのです。
しかし、男性の、それも美容だけに絞りモテる要素を盛り込むのは、脱稿まで苦労の連続でした。その結果、改めて気がついたのです。
モテたいと願う男性の願望は、女性の男性に対する評価の変化と願望の表れであることがわかったのです。
つまり、ひとむかし前の時代なら「男は見栄えを気にするより、稼いでくれればいい」と女性たちも言っていました。
しかし現代は、女性も自力で稼ぎます。結婚願望もかなり希薄になっています。
男性への期待が、経済だけではなく、〝優しさ、身ぎれいさ、セクシーさ、健康や栄養にも気を配り女性の手を煩わせない自己管理能力がある〟ことが求められているということなのです。