銭湯は安全・安心の憩いの場
日本の家屋では暖かい居間から寒い脱衣場・浴室に急に移るため、体が冷えて血管が収縮し血圧が一気に上昇します。
お風呂上りも同じで、温まった体が急に冷える時も血圧が上昇し、脳卒中や心臓発作の引き金になります。
湯船に入った瞬間も、特に42度以上の熱いお湯では血圧が更に上昇しますし、飲酒後はもちろん危険が高まります。
お湯につかると体が温まり、血管が開いて血圧が低下し心地よい眠気に襲われることがあります。
この時に失神を起こすと身動きが取れなくなったり溺れることもあり、特に飲酒後には要注意です。
また、長時間、お湯に入っていると汗がたくさん出て、脱水状態になりますと気持ち悪いだけではなく血液がドロドロになり、血管の中で血栓(血の塊)を作りやすくなりますので、やはり脳卒中や心臓発作などを起こす原因となります。
スポーツの後も充分な水分補給をした後でないと、脱水と疲れから思わぬ重大な危険にさらされます。
また、一人暮らしでは、状態が悪くなっても誰も気が付かず発見や連絡が遅れてしまいます。
以上は正しい入浴によって防ぐことも可能で、次号で詳しく述べたいと思いますが、銭湯はこれらをすべて防ぐことのできる安全な入浴が可能で、特に高齢の方、一人暮らしの方にはお勧めですし、仲間ができるのも楽しいものです。
銭湯は安全・安心の憩いの場としてお勧めです。あ~~、銭湯で身も心も良~い気持ち。
正しい入浴法で健康維持
入浴の際に温度変化が激しいと高齢者や病気を持つ方は危険が大きいことをお伝えしました。
一般にはヒートショックと呼ばれており、日本の住居環境では注意が必要で、特に冬期間は脱衣所、浴室などを温めて居間との温度差をなくすことが大切です。
また、入浴中の異変はなるべく早く発見する必要がありますので、自宅では家族に知らせてから入り、途中で声をかけてもらうことが勧められます。
以上の注意は最悪の事態を避けるために必要ですが、これらは銭湯ではすべてクリアされていることを強調したいと思います。
また、最近は近所付き合いが少なくなり仲間がいないために、閉じこもりがちになる方が増え、大きな問題となっています。
高齢者が住み慣れた地域で最後まで安心して暮らせるよう、地域で協力し合い自ら「地域包括ケアシステム」を作り上げることが急がれていますが、銭湯は地域の皆さんの憩いの場所としても大きな核になると私は考えています。
その他の入浴時に注意することをまとめます。
まずは、浴槽に浸かる前にはシャワー・掛け湯などでお湯に体を慣らしてから入りましょう。
これは急激な温度変化を和らげ心臓などへの負担を減らすものです。
また、42度C以上の熱いお湯での入浴も避けましょう。
入浴前後に十分に水分を取ることは大切で、脱水状態や失神、血液がドロドロになるのを避けることができます。
特にスポーツの後はしっかりと休養を取った上で十分な水分摂取が必要です。
また、長風呂も汗のために脱水状態になりやすく、病気を抱えた方は避けましょう。
最後に、体調の悪い時は入浴を避けましょう。発熱や痛みなどの症状があってつらい時、睡眠不足や過度に疲れた時も要注意です。
そして、飲酒後の入浴は避けましょう。脳卒中や心臓発作の引き金になるだけでなく、失神や寝込んでしまう事故が絶えません。
メタボ健診(特定健診)って知ってますか
皆さんに毎年、自治体から健康診断の通知が届いていると思います。
国民健康保険では40~74歳が対象ですが、足立区では75歳以上の方も受けられますし、他の区と比べて検査の項目などが多くなっており、区民の健康を第一に考える区長の方針だと思います。
この健診は正式には特定健診と呼ばれますが、メタボ健診とも言われています。
メタボリック症候群に該当する方や予備群を早期発見し、早期に生活習慣を変え適切な治療を行うことで、皆さんがより長く健康で元気な生活を続けられることを目的としています。
メタボ予備軍の場合には、保健指導という生活習慣改善のプログラムが用意されています。
その基準ですが、高血圧、高脂血症、糖尿病という三大生活習慣病と喫煙の有無を組み合わせ、その上に必ず満たす基準が腹囲(おへその高さでのウェスト)です。
腹囲の基準は「男性では85㎝以上、女性では90㎝以上」となりますが、皆さん、いかがでしょうか。
私は恥ずかしながらギリギリです(ということにしておきます)。
腹囲の基準について様々な意見があるのですが、費用や時間、体への負担は少なく、かつ、多くの方に実施できる点で優れています。
メタボでは皮下脂肪より内臓脂肪を重視しますので、皮下脂肪が付きやすい女性の基準は緩く、逆に内臓脂肪が付きやすい男性は厳しくなっています。
ただし、皮下脂肪の方が落ちにくいので、女性の方が痩せにくいとも言えます。
もう一つ知っていただきたいのは、特定健診や保健指導の実施率が低い自治体ほど、高齢者の医療費に対する国への負担金が増えることになります。
足立区が区民の皆さんのために充実させているこの制度を活用しない手はありません。
皆さんのお手元に受診券が届きますので、治療中の方も主治医と相談して、多くの方に実施していただきたいと思います。
予防接種に行こう
今年はインフルエンザの予防接種を受けられたでしょうか。
例年では、インフルエンザが流行する12~2月に備えて、11月までに接種を済ませることを勧めてきましたが、今シーズンは事情が異なりました。
インフルエンザワクチンが不足していたのです。
以前にも不足した年がありましたが、ワクチン出荷数は足りていたのに、一部の医療機関で使わないものまで多量にため込んでいたのが原因でした。
今年のワクチン配給は昨年に実際に使用した量の80%しかなく、しかも出荷は少量ずつでその日程も事前には分からないというものでした。
ワクチンはその年の流行を予測しA型3種、B型1種、計4種類のワクチン株を製造しますが、今年は予定したワクチン株が十分に育たなかったのが原因と言われています。
受けたくても受けられない方がいたのではと心配しているところです。
ワクチンについてはその有効性や副作用のために否定的な医師もいます。
ただ、世界的な研究では有効性は認められており、一部の方には注射部が赤く腫れたり、発熱などの副作用が出ることはありますが、命に係わる直接的な有害事象は報告されていません。
65歳以上の方には区からも補助が出る肺炎球菌ワクチンも積極的に受けることをお勧めしますが、もう一つ、皆さん自身よりお子さんやお孫さん世代のことで注意してほしいことがあります。
それは麻疹(はしか)ワクチン接種です。
麻疹は免疫のない若者に大流行することがあり関心を集めていますが、麻疹は予防接種により防ぐことのできる病気です。
アメリカでは保育所や小学校、大学入学時にはワクチンの接種証明書を提出することを義務付けているほどです。
27歳から40歳の世代が要注意と言われていますが、その親世代と子世代を含めて、ご家族で関心を持たれるよう話し合ってはいかがでしょうか。