「永代供養墓」の意味とは
家族親族の代わりに霊園が管理・供養をしてくれるということ
お墓の掃除や供物の片付けなども(画像出典:photoAC)
家族が遠方にいて墓参が難しかったり、お墓の承継者がいない人が安心して選べるお墓、それが「永代供養墓」です。
永代供養とは「霊園が永代にわたって供養とお墓の管理を行いますよ」という意味。
少し前までは実家の近くに菩提寺がある環境で、家を相続した子孫が菩提寺との関係を受け継ぐことが多く、家の跡取りが墓守としての役割も担っていました。
これは、明治政府がお墓の継承に対する扱いを「家督相続」と位置付けて、法律で定めたことから始まった風習です。
しかし戦後以降、働き方や生き方が西洋化したことで実家から離れて暮らす家族が増えて、お墓との距離も開いて行きました。
そこで霊園側が管理や供養を代わりに行うようになり、「こちらで永代供養しますから安心してください」という意味を含める「永代供養墓」が現れたのです。
永代供養はいつまでしてもらえる?
霊園がある限り供養を続けてもらえる
盆彼岸の供養では僧侶による読経がきちんと行われる(画像出典:photoAC)
永代供養の「永代」の意味がわかりづらいという声もあるようです。
これは「永久に」という意味ではなく、永代供養の依頼を受けた霊園がある限りは供養を続けてもらえるということ。
永代供養墓は、最初から合祀するタイプ、納骨堂内で遺骨を供養するタイプ、樹木葬タイプなど様々な種類があり、望む形のお墓を選べることも人気が出ている理由のひとつです。
個別のお墓で弔えるタイプもありますが、永代供養を申し込むと一定の期間をすぎた時に合祀される場合がほとんど。
永代供養墓が一般的な継承墓より比較的安価なのは、いずれ合祀することで個別のスペースがいらなくなるためです。
霊園によっては、一定期間が過ぎるタイミングで、予定通り合祀するのか、合祀の時期を遅らせるのかを相談できるシステムを整えている場合がありますので、すぐに合祀されることが心配なら霊園に確認してみましょう。
永代供養墓と墓じまいの違い
墓じまいは「お墓を片付ける」こと
お墓をいつまで残したいかも考えておきたい(画像出典:photoAC)
墓じまいを考える人にも多く選ばれている永代供養墓ですが、「永代供養墓=墓じまい」ではありません。
永代供養墓は霊園に遺骨の管理・供養を続けてもらえるので、合祀であっても手を合わせる場所は霊園の中に残せます。
墓じまいで永代供養を選ぶ人もいますが、「墓じまい」という言葉の中には、お墓そのものを手放して手元供養に切り替えたり、散骨などで遺骨の供養をおしまいにする場合も含まれます。
永代供養墓は、「お墓を残して家族に負担をかけたくないけど、ある程度の期間は供養して欲しい」という人が増えたことを受けて新しく整えられたもの。
「子供にお墓をのお世話までさせられない」と心配する人たちに、墓じまいよりも安心感の強い永代供養墓のニーズが高まっていると言えるでしょう。
継承墓から永代供養墓に改葬するには
継承墓から永代供養墓に移すためには「改葬」が必要
書類の提出などは手間がかかるので気をつけて(画像出典:photoAC)
先祖から受け継いだ継承墓を永代供養墓にしたい、という場合は、お墓を引っ越す(改葬する)必要があります。
お墓の引越しは遺骨を移動させることになり、行政の手続きも必要ですので、ある程度時間がかかることを念頭に入れておきましょう。
寺院霊園から他の霊園に映る場合は、檀家をやめる「離檀」の手続きを行うことになり、離檀料を求められる場合もあります。
離檀する場合は、トラブルにならないよう早めに相談し、寺院側に理解してもらえるよう理由をきちんと説明しておくことが大切です。
お墓の悩みを軽くして安心を得られるお墓を
お墓の管理問題から解放される永代供養墓
家族の気持ちも大切に(画像出典:photoAC)
永代供養墓は生前の申し込みもできるため、安心できるお墓に入りたいと願う人が早めに購入するケースも多いようです。
「墓じまいが大変そうでお墓を買う気になれない…」
という悩みを持つ人にとっても、ひとつの解決方法として受け入れられています。
お墓の掃除やお参り手が残したお供えの片付けなど、全ての管理を霊園が請け負ってくれるので、家族に負担をかける心配もありません。
もちろん、盆や彼岸の供養もきちんと行われます。
最初に支払う永代供養料の中に僧侶へのお布施が含まれている霊園も多いので、金銭的な負担が気になる場合は、お墓を購入する前にその点も含めて確認しておくと良いでしょう。
全国で増えつつある永代供養墓。
いざというときに慌てないために、身近な場所に永代供養墓を取り扱う霊園があるかどうか、普段から見ておくのも良いかもしれませんね。