【老眼は老化ではない!】速読教室に通い始めたAさんが始めた「適切な眼づかい」。その方法と効果とは。

歳を重ねると一度は直面する、「老眼」という言葉。筆者は、読書によって『眼の健康寿命』も保たれる、と考えています。 眼の健康は、生きる希望でもあります。
2020/02/26

「適切な眼づかい」で、老眼を防ぐ

「健康な眼」でいられることは、生きる希望でもあります。

 

適切な眼づかいで読書をすることで、老眼を防ぐ、もしくは改善することができます。

速読教室に来た、77歳 Aさんの場合

先日、私の速読教室(NBS 日本速読教育連盟)に77歳の男性Aさんが入会してきました。

 

読書力を測定すると、目も含めて身体的には年齢相応であることが見て取れました。

 

しかし、入会理由を聞くと、80歳までに若い時に取った資格の事務所を開きたいという希望を持っている、とのこと。

 

訓練を始めると、今まで固まっていた目が動き出し、それだけでも近くが見やすくなったと喜んでくれました。

速読訓練の途中で・・・

しかし、高齢で入会すると、親しい家族や友人が旅立つことがよくあるものです。

 

Aさんの場合も、入会早々にお兄さんが癌だと判り、病院に付き添い看病が必要になったため、2ヶ月間教室に来ることができなくなりました。

 

お兄さんが旅立ち喪の期間を終えると、再び訓練を開始しました。

何冊もの法律書で「眼を酷使」

その後、お兄さんの遺言書について法律的問題が生じたとのことで、たくさんの本を読むことが必要になります。

 

Aさんは、細かな字の法律書を何冊も読み、問題解決の糸口を見出しました。

 

しかし教室に来たときには非常に目が疲れている状態で、老眼も進んだかのように見受けられました。

老化はなくならないけれど

その時、私は「老眼は改善するのですよ」と、これまで教室で指導してきた生徒さんも老眼を改善している事実を伝えました。

 

もちろん身体の”老化”がなくなるわけではありません。

 

しかし、近くが見えづらくなる、いわゆる老眼というのは、機能を使わないために生じる「廃用性萎縮」による現象だと、私は考えています。

 

速読時の脳波の研究でご指導いただいた故・品川嘉也先生(日本医科大学教授)は、60歳をすぎても老眼が全くありませんでした。

 

先生にどうして目がいいのですかと尋ねると、「僕はたくさん本を読むからね。目を使っているから視力が衰えないのだよ」と答えられました。

目を『使う』ことで発達活性化する

一般には「目を使うから疲れて視力が低下する」と思われています。

 

ですがよく考えてみると、身体の機能や筋力というのは、使うと発達し、使わなければ萎縮していきます。

 

これは体験的にも理に適っているのです。

「適切な眼遣いをする」ということ

もちろん、がむしゃらに本を読めば目が良くなるというわけではありません。

 

何事もそうであるように、読書にも「適切な眼づかい」というものがあります。

 

適切な眼づかいで読書すれば、老眼が解消するだけでなく、読書能力も伸びていくのです。

文中に出てきた「廃用性萎縮」とは、「廃用症候群」に含まれます。病気やケガなどで身体を動かせない状態が続き、過度の安静や日常生活の不活発に伴って生じる身体的・精神的諸症状の総称です。
酒井医療 高齢者の身体機能低下とそのリハビリテーション (3)廃用症候群