おそらく、飛ばさずに全部の文字を読んで速読した方は少し速くなっただけでしょうし、拾い読み飛ばし読みをした方は、その飛ばす程度によりますが、かなり短い時間で読めたと思います。
しかし、いずれにせよ、1章で紹介した「10万字/分」という速度は、自分の速読速度と比べて、何か別世界のような気がしたではないかと思います。
実は、飛ばさずに読んだとすると、3000字/分がほとんど限界です。
眼球を動かす速度、つまり眼筋の伸び縮みする速度に限界があるからです。
ですから、3000字/分以下の速度で読むのと、それ以上の速度で読むのとでは、読む機能が大きく異なっているのです。
しかし、もともと速読という言葉には、「◯◯字/分以上を速読とする」という速度についての定義はありません。
速度の程度に関係なく、少しでも速く読めば、みな速読と表現して問題ないのです。これが、速読について曖昧な印象を持つ第二の理由です。
昔は、すべての文字を順に読んで、かつ3000字/分を超す速度で読む人はほとんどいませんでした。
そのような能力を身につける方法もありませんでした。
ですから、「速読」の内容を厳密に考える必要はなかったのです。
しかし、いろいろな読書の仕方があることが分かった今、読み方が異なる速読や、読む機能の異なる速読を一緒にして、同列に論じるわけにはいきません。
まとめると、速読には、大きく分けて、表のように4種類あります。
読書速度は、個人の能力であり、従来、変えられるとは考えられていませんでした。
ところが、時代が進んで情報化社会となった今、全部の文字を読んでいく速読が求められるようになりました。
そして、読書力をトレーニングによって開発する方法が発見され、表のように分類して示すことができるようになったわけです。
読者の皆さんは、この点をはっきり区別して、本書を読み進めていただければと思います。