【毎分10万文字・誰でもできる速読脳トレーニング】13.速読法が存在しなかった理由

「速度力は、理解力が発達して伸びる能力」というのが、これまでの読書心理学の考え方であることは説明した通りです。逆に言えば、実は、読書心理学では、速度力を伸ばす方法が見つからなかったのです。
2020/03/29

従来の速読法に対する評価

「Reading Rate」という速読法に関する研究と理論をまとめた本がありますが、そのなかで、著者のR.P.Carverは、 読書速度を上げると理解度が下がるだけだと、速読法をこき下ろしています。

 

それが、従来の速読法に対する評価だったわけです。

 

それだけ、速く読書できるようにすることは、簡単ではなかったということです。

 

速度を上げることについて、アナロジー(類似の例)で考えてみましょう。

 

たとえば、仕事の速度を上げることを考えます。

 

皆さんの周囲にも仕事の早い方と遅い人がいると思います。

 

遅い方は、準備に気がまわっていなかったり、仕事に集中していなかったり、落着きがなかったり、雑念が多くて仕事に不注意だったりします。

 

その結果、仕事の運びが遅いだけでなく、ポカミスが発生し、その修正に時間を取られます。

 

逆にいつも、仕事が早い方は、集中力があり、いわゆる頭の回転(情報処理速度)が早く、落ち着いていて気が上がらず、広い視野で総合的判断ができ、ポカミスも少ないのです。

 

つまり、仕事が早い方のいうのは、単に頭の回転が速いとか、手の動きが速いとかというのではありません。

 

優れた集中力や冷静さ、広い視野、判断力、自己観察力(気づく力)などが伴っているのです。

 

このことを、速読に当てはめると、眼球を速く動かすだけでは、速く読めるようにならないことが納得できると思います。

 

集中力や落着き、記憶力、頭の高速情報処理、広い視野、そしてこれらをコントロールする力などの能力に優れていて初めて速く読めるのです。

 

速く読んでいるかどうかは外から見えますから、速読力の表面的な力です。

 

しかし、集中力や落着きなどは外から見えませんが、読書を内部から支えている内面的な力です。

 

これらの内面的な力は、学習基礎力と呼ばれます。

 

「速読脳開発プログラム」で、10万字/分もの速度で読書できるようになるのは、単に文字を順に素早く読み取っていく能力だけでなく、集中力などの学習基礎力を、一緒に飛躍させるからです。

 

これらの学習基礎力を一緒に開発しなければ、速読能力を開発することは困難です。

 

ですから、眼球の動きだけを変えようとしたアメリカ式速読法は、速読能力を向上させるものにならなかったのです。