【毎分10万文字・誰でもできる速読脳トレーニング】16.文字を読み取る速度の限界は?

前章(第5のヒミツ)で、文字を次々と読み取る能力が理解力を発達させると説明しました。文字を読み取る能力は、1分間に何文字読み取れるかで測定されます。
2020/04/03

8ミリ秒で、約7個の文字を認識できる

2章で、できるだけ速く読む体験をしてもらいましたが、拾い読みや飛ばし読みをせずに、すべての文字を順に読み取るという条件で、かつ文章内容はまったく理解できなくなるほどの速度で文字を読み取っていったとき、その速度が、文字を読み取る能力になります。

 

内容を理解して読んでいくと、必ずその分時間を取られますから、文字を読み取る能力が読書速度の限界を意味しています。

 

そこで、この文字を読み取る能力のことを限界速度と呼んでいます。

 

これまで多くの測定値からいうと、その値の平均は、普通に理解して読んだときのおよそ2倍になります。速度にして、1000〜2000字/分です。

 

では、そもそも、私たちに潜在している限界速度の能力は、どの位なのでしょうか。

 

そのヒントになる実験があります。

 

実験心理学では、短い時間、刺激を提示して、提示された対象の個数を正しく言い当てることができる個数のことを知覚の範囲と呼びます。

 

また、一度聞いた事柄をすぐおうむ返しに再生することができる限界を、直接記憶範囲と呼びます。

 

G.A.ミラーは、これらの知覚の範囲や直接記憶範囲が、なぜか7±2であることを発見し、マジカル・ナンバー7と呼びました。

 

同様に、文字をスライドプロジェクターで8ミリ秒提示して、文字が何個あったかを報告させる実験を行ったところ、知覚の範囲は11という結果が得られています。

 

ただし、この知覚の範囲は、正答率50%で求められているので、正答率を100%で見ると、その範囲は「6」、95%で見ると「7」という結果が得られています。

 

この結果から、「私たちは、8ミリ秒で、約7個の文字を認識できる」能力を持っていると考えられます。

 

これを、1分間に換算すると、52,500文字になります。

 

すでに述べたように、内容を理解しなくてよいことにして測定した、文字を見るだけの速度は、1,000〜2,000字/分ですから、潜在能力である52,500字/分の、25分の1以下です。

 

普段発揮している能力が潜在している限界能力の数分の一であれば納得できますが、これは、かけ離れ過ぎているように思われます。