【毎分10万文字・誰でもできる速読脳トレーニング】20.「速読脳」は音声化せずに理解する

「1ページを1秒で読める」というと、ほとんどの方は信じられないという表情をします。自分が理解して読む速度とあまりにかけ離れているために、どのようにすればそのような読書速度ができるようになるのか、理解できず、納得がいかないわけです。ですから、想像すらできず、信じられないと気持ちはよく分かります。
2020/04/07

文字はもともと、音声を視覚的に見ることのできる記号

自分が行っている読書と比較して、信じられないと思うポイントは2つあると思われます。

 

ひとつは、自分は心の中で音声化して読んでいる、音声化しないと理解できない、音声化するとどんなに速く読んでも1ページ30秒位はかかる、という音声化して理解していることと比較した疑問です。

 

確かに、文字はもともと、音声を視覚的に見ることのできる記号にしたものですから、文字を読むときには、もとの音に戻して、理解するというのは、ごく自然なことです。

 

しかし、幼いとき文字を覚えてから、ずいぶん長い期間、文字を見て音に直す作業を行ってきました。

 

おそらく、一日も文字を読まない日はなかったはずです。

 

これだけ繰り返してきたからには、もうすでに、音声化せずに、理解する脳の回路は出来上がっているはずです。

 

ただ、日常、心の中で音声化していろいろ考えることをしていますから、そのことに気づきにくいだけなのです。

 

ぜひここで「自分には、もうすでに、心の中で音声化しなくても理解できる脳神経回路が発達している」と信じてみてください。

 

そうすれば、それだけで、音声化せずに理解できる部分が増えてきます。

 

逆に、「音声に転換しないと理解できない」と信じていると、すでに音声化せずに理解できる能力があるのに、それを無視することになり、音声化して理解する回路を強化することになってしまいます。

 

理解し、判断するために、必ずしも音声化する必要のないことは、車を運転しているときのことを考えるとよく分かります。

 

車を走らせているとき、その置かれた状況を理解し、判断しながら運転していますが、その理解し、判断した内容をいちいち音声に直していないはずです。

 

しかし、私たちは、状況を間違いなく判断し、適切な角度だけハンドルを切り、適切な加減でブレーキやアクセルを踏んでいます。

 

つまり音声化しなくても、正しく状況を理解し、判断し、選択するという高度な知的活動をすることができているのです。

音声化は読む目的による

もちろん、音声化することもあります。

 

たとえば、制限速度の標識を見て確認するときなどです。

 

確認して、強く印象づけるためには、音声化は効果的です。ですから、事故を起こしてはならない立場にあるトラック、バス、電車などの運転や案内をする人は、指差しとともに、大きな声で確認動作を行うのです。

 

同じことは読書でも言えます。

 

初めて出会った言葉や熟語、カタカナで書かれた長い固有名詞などは、音声に直して、その読み方を確認しておく必要があります。

 

それを数回繰り返すと、もう音声化して確認することは必要なくなります。音声化しなくても、正しく理解できるようになった結果、音声化する作業は必要なくなるのです。

 

速読の音声化の有無に関連してよくある誤解は、「速読では音声化しない」と聞いて、音声化を止めて読もうとすることです。

 

当然のことながら、音声化を止めると、理解ができなくなります。

 

それまで、「文字を見る→音声化する→理解する」という脳の理解回路を長年にわたって使ってきたわけですから、突然「音声化する」という段階を除いてしまったら、理解することはできなくなってしまうのです。

 

だからといって、速読はできないものだと考えるのは、間違っています。

 

トレーニングによって、「文字を見る→理解する」という回路を発達させるからこそ、音声化せずに、理解できるわけです。

 

そのとき、音声化して読むことも、音声化せずに読むことも、理解や記憶、確認などの目的に応じて、自動的になされるのです。

 

つまり、「速読脳」が開発された人は、音声化して読むことも、音声化しないで読むことも自在なのです。