たとえば、特に「速読脳開発プログラム」のトレーニングをしていなくても、「犬」という漢字を見れば、わざわざ「イ・ヌ」と音声化して読まなくても、瞬間的に「犬」という意味を理解できるはずです。
理解できたかどうか確認していると遅くなってしまいますが、見た瞬間に理解している安心感のような感覚が生じるのが感じられたら、それは理解したということです。実は、それが「速読脳」の萌芽なのです。
4文字ぐらいまでは、ほとんどの方が、見た瞬間に、このような理解の感覚を得ることができるはずです。
集中して見ることができるなら、6章で述べたマジカルナンバーである7個まで、文字を見た瞬間に理解できるでしょう。
しかし、それ以上は、難しいはず。
というのは、7個以上になると、一目で瞬間的に読み取ることができなくなり、目で追わないと文字が読めなくなるからです。
現在の、このようなレベルにある、見た瞬間に理解する能力を、段階を追って発達させていくのが、「速読脳開発プログラム」のトレーニングなのです。
速読の理解については、いろいろな説明がまことしやかに語られています。
たとえば、「瞬間的に漢字や言葉を読み取って、内容を把握する」という説明があります。
「読み取る」という表現の替わりに、「入力する」や「眺める」という言葉が使われ、「把握する」という表現の替わりに、「つかむ」「推測する」「統合する」などの言葉が使われますが、拾い読みをしていることを糊塗しているだけのように思われます。
また、「速読は潜在意識で読むので、読み終わってからしばらくしてから内容が思い出される」という説明もなされたりします。
「すごく速いから、そうなのかも知れない」と納得しそうですが、これは、高速で文字を順に読み取る能力ができていないことを示唆している説明と言えます。
このような説明は、いずれも「速読脳」の理解とは、まったく異なっています。「速読脳」が開発されたときは、見た瞬間に理解する作業を連続的に行うことができるようになります。
したがって、読んだ順にそのまま理解していくことができるようになるのであって、文章を「見た」即「理解」という理解の仕方で読み進んでいきます。
ですから、「普通の読書と同じように読んでいく」と言っているわけです。