そこで、「速読脳」の開発によって、自分がどのように成長し、仕事の仕方がどのように変わるのかについて、受講生自身の言葉で語っていただくことにします。
語ってくださったのは、年齢35才の女性S.I.さん、読書速度3万字/分を達成して表彰されたときの挨拶です。
そこで、「速読脳」の開発によって、自分がどのように成長し、仕事の仕方がどのように変わるのかについて、受講生自身の言葉で語っていただくことにします。
語ってくださったのは、年齢35才の女性S.I.さん、読書速度3万字/分を達成して表彰されたときの挨拶です。
私が速読を始めたのは、会社に入ったばかりの頃、仕事が全然できないダメ社員で、そんな自分を変えて何とか人並みになりたい、と切実に思ったからです。
おっちょこちょいで書類を作ればミスだらけ。何をやるにも処理速度が遅く、納期に遅れて人に迷惑をかけてばかり。
大した仕事を与えられてもいないのに、いつも時間に追い立てられており、いくら残業しても仕事はたまる一方。
実務脳力が低く、ダメ社員な自分が給料ドロボーにしか思えず、イヤでイヤでしょうがありませんでした。
そんな時、速読という技術があることを知ったのです。これをマスターしたらダメ社員を脱出できるかも知れない!
そう思った私は、鼻息荒く説明会に参加し、即刻入会を決めました。
しかし、訓練を始めてみて、あまりに自分が速読に向いていないことに気づき、驚愕したのです。
人一倍落着きがない、焦りやすい性格、長年しみついた姿勢の変な癖、体力の無さ、運動音痴、ド近眼・・・と、六重苦くらいのハンディキャップがあって、教室で教えられる「鎮まり」の状態とは、すべてにおいて180度逆のタイプ。
もし速読に向き不向きがあるとすれば、間違いなく不向きだったと思います。
他の人に比べても、全然訓練が進まず、何階教室に来てもずーっと同じ訓練メニューをひたすらやって、進ませてもらえない期間が何か月も続き、自分は不向きだからもうあきらめようと思ったことも何度もありました。
気持ちも浮き沈みが激しいので、やる気がなくなると教室から足が遠のいてしまって、半年、一年とか長期間ほとんど行かない時期もあり、それでも、やめるには至らず、細々とでも一応続けてきた点だけは、自分を褒めたいと思います。
その間、訓練は3歩進んで2歩下がる、の繰り返しで、相当年月がかかってしまいましたが、何とか3万字/分の速度で読むことができるようになりました。
先生方には、本当に感謝しております。
それで、今、私が職場でどうしているかといいますと、仕事がとても楽しくなって、昔ほど時間に追い立てられることもなく、毎日のようにミスを多発してあちこちに頭を下げて廻るということもなく、快適に仕事しています。
ひとつには、転職して、好きな仕事ができるようになったこともあると思います。
出版の仕事に携わりたいという思いが叶い、4年前に電機メーカーから、まったく畑違いの出版社への転職に成功しました。
当時、出版社を受けるにはこれまでの絶対的読書量が足りないと思い、受験前にほんを250冊読みました。
そんな努力を買ってもらえたのか、念願かなって出版社にうかり、今は、エキサイティングな仕事ができて、とても張り合いがあります。
もうひとつには、前と比べれば仕事の実務能力が上がったのではないかと思います。
それは、メールを読むのが速くなって処理速度が上がったとか、多くの資料に目を通せるので知識が増えたとか、いろいろあると思いますが、その他のいろいろな能力全般が、底上げされた気がします。
速読を始めてから、自分が変わったと実感できたことを、何点か挙げてみたいと思います。
(1)勘がよくなった
不思議ですが、直感が働くようになりました。仕事でも、「これが後々火を吹くのではないか?」というのが何となく分かるようになり、トラブルを未然に防げることが多くなりました。
(2)ポイントが分かるようになった
読書もそうですが、他人の話を聞いても、枝葉末節にあまりとらわれず、要は何を言いたいのか、大切なポイントは何かが分かるようになりました。
(3)気が利くようになった
宴席で良いタイミングでお酒をついだり、電車でお年寄が乗られたとき、さっと席を譲ったり。訓練によって、視野が広がり、目の解像度が上がったからかもしれません。
まあ、もとが異常に気の利かないタイプだったので、やっと人並みに近づいたぐらいなのですが。以前は、宴会で同僚との話に夢中になってしまうと、課長のグラスが空になっていても見えていなかったんですね。
今は、同僚と盛り上がっていても、その背後の上司の空のグラスに気がついて、サッとビールを注ぐといったことができるようになりました。
(4)気持ちにゆとりができた
気持ちにゆとりができて、焦ることがあまりなくなりました。仕事のミスも減りました。
(5)毎日が楽しい
以前は、他人と比較して自分はダメだと落ち込んだり、昔のことを何度も蒸し返してはクヨクヨ考えていることが多かったのですが、今は、そんな気持ちに囚われることもなく、自分が生きる今のこの瞬間を、大切にすることができるようになりました。
自分の目の前にある風景の美しさや、縁あって誰かと会えることの有り難さを全力で噛みしめることができます。これは、生きている今の一瞬一瞬に集中する力がついたからだと考えています。
読書のために培った極限の集中は、実は、生きるすべての瞬間に発揮されているのです。そして、これが、速読で培った能力のなかで、一番素晴らしいと私は思っています。
先生の皆さまには、本当に心配をかけた生徒だったと思いますが、これからもがんばりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
実は、S.I.さんも、前節で取り上げたAさんも、甘いものが大好きで、その問題性に気づいていなかった一人です。
もし、お二人がそのままの状態を続けていたら、病気になるか、ストレスで押しつぶされてうつ病や出社拒否になった可能性は否めないと思います。
「速読脳開発プログラム」は、私たちが本来持っている能力を開花させるトレーニング法です。その中で、心と身体の問題を持っているなら、それを改善することを並行して実践していくわけです。
きれいな花を咲かせるためには、土壌の栄養を適切にすることはもちろん、水はけをよくし、空気をよく混入させなければなりません。そのような土壌作りのプログラムを含んでいることが、「速読脳開発プログラム」の、単なる速読法を超えているところなのです。
仕事を遂行するために、知識は不可欠です。会社の採用試験では、基礎学力や専門知識を試します。
しかし、なかなかこれはという人物を採用できないという歴史がありました。
それでは、一般常識問題で人物を見ようとしましたが、それもうまくいかず、さらに英語の習得レベルは性格を反映するだろうから英語力をチェックしようと、採用試験の方法は時代とともに、変化してきました。
いずれも、的を的確に射たとは言い難いと思われます。
さらに昨今は、真面目で仕事熱心な良い人物を採用できたと思っていたら、うつ病で出社拒否になってしまったなど、多くの人事担当者が嘆くところです。
人間がひ弱になったのか、社会の仕組みが人間を壊しているのか、おそらくその両方だと思います。
その結果、仕事世代の1割もがうつ病だというのですから、恐ろしい話です。
会社にとってだけでなく、社会にとって致命的な負担になりかねません。
一時期、社内研修として自己啓発にも力点が置かれた時代がありましたが、最近は、自己啓発研修は下火になりました。
直観力や想像力を開発し、創造力を向上させることは、あきらめたように見受けます。
うつ病や出社拒否という、社内の努力だけでは、ほとんど改善不能な問題に直面して、せめて最低限、仕事を遂行するために必要な知識を覚えてもらうしかないと、社内研修の方向が変化してきているように感じます。
私は、30年にわたる教室での授業や、企業での研修を通じて、先のS.I.さんやAさんのような人をたくさん見てきました。
そのなかで思うのは、うつ病や出社拒否を未然に防ぐ方法はあるし、実際に効果のある自己啓発も存在するということです。
その方法を、取り込んで、確立したのが「速読脳開発プログラム」というわけです。
「企業は人なり」と言われます。人材こそ企業の生命線です。「速読脳」の開発には、少し時間がかかることは確かですが、将来にわたって「うつ」などの問題を起こさない社員の養成、リーダーシップを取ることのできる社員の養成に、大いに役立つものと確信しています。
この記事を書いた人
日本速読教育連盟 理事長(工学博士)
佐々木豊文
1984年、東京23区で初めて速読教室を開設。以来一貫して速読テクニックではなく、読書能力としての「速読脳」を追求、指導。そのトレーニングや頭脳活性化の様子は「ためしてガッテン」やEテレ「ニューベンゼミ」などで繰り返し紹介され、速読ブームを起こした。中学時代から慢性腎炎で医者に見放され、自ら克服するため健康法を追求してきた。その結果、教室では健康法や視力回復法など、総合的に能力開発を指導している。
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