【医師が解説!】コレステロールは本当に悪者なのか?(人生100時代協議会・AGE100PRESS)

コレステロールはよく悪者扱いされていることが多いようですが、コレステロールは体にとって非常に大事な働きをします。 今回はコレステロールについて解説していきます。
2020/04/02

悪玉コレステロール(LDLコレステロール)

健康診断や人間ドックを受けられた方、またご家族にコレステロール高いねと言われている方、いらっしゃると思います。

 

悪玉コレステロールとは、LDLコレステロールと言われているもので、これが高いと血管にコレステロールがへばりついて、血管を詰まらせる恐ろしいものと言われています。

 

そのために、実に多くに人がコレステロールの薬を飲んでいるという現状があります。

コレステロールの働き

悪者扱いされてしまうコレステロールですが、コレステロールの最も大事な働きの一つが細胞膜を構成しているという点です。

 

人間の細胞の数は約60兆個あります。

 

その細胞は細胞膜という膜で覆われていて、細胞内を保護し、必要な栄養素を細胞内に送り込む役目があります。

 

コレステロールは細胞膜のしなやかさを作るものです。

 

コレステロールは必要量がないと、正常な細胞が作られにくくなります。

正常なコレステロール値

健康診断では、この数字134㎎/dlまでが正常と記載されていることが多いのですが、これを、40歳以上の日本人のデータに当てはめてみると、実に33%の人がコレステロール異常となったという発表があります。

 

しかし大事なことは、コレステロールが高い人たちの中でも更に血管を詰まらせやすい人は誰なのかを区別する必要があります。

 

特に、閉経前の女性でコレステロールが高い以外、高血圧や糖尿や家族に心臓病がいる、などのリスクを持っていない場合、最低でもLDLコレステロールは160までは放っておいて大丈夫です。

 

欧米では190㎎/dlを越えて、初めて薬の治療を考えるところもあります。

 

コレステロールは生命維持に必須の栄養分です。

 

卵にはコレステロールがたくさん含まれているために心臓病の危険性は常に心配されてきましたが、1日1個の卵を食べ続けても心臓病の危険性は上がらない、とする大規模な研究結果が発表されています。

 

良質な脂質が良質な細胞を作ります。コレステロールが悪者だからと思い込んで、下げ過ぎることに必死にならないようにしてくださいね。