足のむくみ、原因の多くは病気ではない
足がむくんできたときに、どんな原因が考えられるでしょうか?
これってそもそも病気なのでしょうか?
例えば、立ち仕事が長かったときや一日中座っていたときなどに夕方むくんできた経験はありませんか?
これは、単純に下肢の運動不足に伴い、下肢の循環が悪くなっていたからで病気ではありません。
また、塩分を取り過ぎると体は塩分を薄めようと水分を体内に溜め込もうとする作用が働き、結果的にむくみに繋がります。
また、高齢者などで体内のタンパク質が少ない、いわゆる栄養状態が良好でないと、血液が薄くなってしまい、同様にむくむことがあります。
このように、むくみの多くは運動不足・塩分過多などの偏食・栄養障害などで病気ではありません。
しかし、むくみの中には実際に病気を抱えている場合もあります。
むくみを起こす病気
代表的なものに心不全があります。
心不全は、心臓のポンプ機能が低下したことで、尿量が低下してしまい、体内に水分が溜まっている状態です。
同様に腎不全や肝不全などの内臓障害でもむくみは出現します。
また、貧血などで血液が薄くなっている場合や、甲状腺の機能が低下し全身の代謝が低下している場合もむくみの原因になります。
むくみの多くは問題ないといえるものの、一部の方には病気が隠れていることがあります。
特に高齢者や糖尿病や高血圧などの基礎疾患を抱えている方はチェックする必要があると言えます。
片足のむくみ
大抵のむくみは、両下肢が同じ程度にむくむことがほとんどですが、時折片足のみがむくんでくる方がいらっしゃいます。
そんな場合にどんな病気を考えればよいのでしょうか?
片足のみむくむ場合、いくつか原因が考えられます。
もし下肢に何らかの菌が入ってしまうと、むくむというより赤く腫れ上がってくることがあります。
この場合、蜂窩織炎(ほうかしきえん)や静脈炎などが考えられます。
感染がきっかけでむくみます。
そして抗生物質の治療が必要となります。
基礎疾患に下肢静脈瘤があると、むくみや感染が起こりやすくなります。
また、リンパ管が閉塞されるとリンパ浮腫を起こしますが、悪性腫瘍などの影響で出現することがあります。
むくみと深部静脈血栓症
一方、下肢の静脈に血栓ができてしまう病気があります。
深部静脈血栓症と言われます。
飛行機などに長時間乗っていたときに起こるエコノミークラス症候群という言葉で馴染みがあるかもしれません。
深部静脈血栓症は、下肢のむくみだけにとどまらず、下肢にできた血栓が肺に飛んでしまうことがあります(肺血栓塞栓症)。
そのためにしっかりと血栓を溶かす投薬治療をする必要があります。
肺血栓塞栓症は、ときに巨大血栓が肺に飛んでしまうと命に関わることもあるのです。
深部静脈血栓症は、下肢の運動不足、長時間の座位で生じやすくなります。
そこに水分摂取不足など脱水が絡むと余計に血栓ができやすくなります。
日頃の運動や水分摂取を心がけてくださいね。