「疲労」が招く危険性
東日本大震災や熊本地震などの大きな災害などにおいて、震災において「助かった命、助けられた命」の中で、その後お亡くなりになっている震災関連死をされた方が存在します。
平成24年8月21日に復興庁より出された「東日本大震災における震災関連死に関する報告」によると、平成24年3月31日の時点で震災関連死された方が1632人おります。
そのうち震災関連死の死者数が多い市町村と、原発事故により避難指示が出された市町村の1263人を対象に調査を行なったところ、以下のような分析結果が出ています。
・男女別では概ね半々
・既往歴の有無については、約6割が有、約1割が無、約3割が不明
・死亡時年齢別では、80歳台が約4割。70歳以上で約9割
・死亡時期別では、発災から1か月以内で約5割、3か月以内で約8割
・全体の原因区分(複数選択)では
「避難所等における生活の肉体・精神的疲労」が約3割
「避難所等への移動中の肉体・精神的疲労」が約2割
「病院の機 能停止による初期治療の遅れ等」が約2割。
引用「東日本大震災における震災関連死に関する報告」復興庁
健康の仮面を被った「潜病」という盲目のステージ
上記の分析結果が示しているのは、震災関連死につながった原因として、「疲労」という症状があったということです。
しかし、典型的な「疲労」という症状が出でいなくても、病気や死に至ることがあります。
漢方医学では、よく病気の前段階として、「未病」という言葉が使われます。
未病とは病気とは診断されていないけれども、慢性疲労や肩こり、頭痛、便秘など、不快な症状のある状態のことです。
では、病気でも、未病でもない場合は、健康と言ってよいかというと、それは違います。
それでは症状もなく、突然亡くなってしまう人がいることへの説明がつきません。
人が亡くなるには、必ず理由があります。
健康だと見える人が事故でもないのに、急に亡くなってしまうわけがありません。
実は、健康と未病の間にも、「症状はないけれども、健康でもない」という盲目のステージが隠されているのです、
私はそれを、病気が潜伏しているという意味で、「潜病(せんびょう)」と定義しています。
「疲労」という症状が現れていなくても、隠れた疲労やストレスといった「潜病」に気がつかず、放っておいた場合、潜病→未病→病気と徐々に悪化していくだけでなく、人によっては「潜病」の段階から、未病や病気を経ずに「死」に直結してしまう場合もあります。
「疲労」に気づいてからでは遅いかもしれない
今回の新型コロナウィルスの感染拡大は、ウィルス感染に対する恐怖、ネガティブな情報や将来に対する不安感、外出自粛や学校閉鎖、仕事のオンライン化といった社会生活にも劇的な変化をもたらし、大きなストレスをもたらしています。
今、疲労感を感じたり、不調を感じたりしていなくても、その前の段階である隠れ疲労やストレスを多く抱えることで、潜病を進行させ、突然死を招いてしまう危険性があります。
「疲労」を感じてからでは、間に合わないことがあります。
「潜病」のサインが出た段階で、それに気づき、リセットする必要があるのです。
次回第2回目では、健康の陰に隠れた「潜病」に気づくための方法についてお伝えしていきます。