【医師が解説】心筋梗塞の怖さと予防について(AGE100PRESS)

毎日、暑い日が続きますが夏バテなどしていませんか?

まだまだ残暑は厳しいですが、睡眠、食事などに気を付けながら、この夏を乗り切りましょう。 前回は心電図の異常の中でも脈・リズムの異常である不整脈について解説しました。 今回は血流の異常である心筋梗塞について解説していきます。  
2020/09/03

心筋梗塞って何?

心臓はそのほとんどが筋肉でできており、心筋と呼ばれています。

 

そしてその筋肉に栄養を送る血管が存在し、冠動脈と呼ばれています。

 

冠動脈は、心臓の筋肉の周りに張り巡らされており、この血管が詰まってしまうと心臓の筋肉に栄養が送れなくなってしまい、その場所の心筋は壊死してしまいます。

 

これが心筋梗塞です。

 

では、冠動脈が詰まり、心筋梗塞になるとどんな問題が出てくるのでしょうか?

心筋梗塞で起こること

心臓の筋肉が壊死すると、どんな事が起こるのでしょうか?

 

心筋梗塞にはさまざまな合併症があります。

 

まず、壊死した部分の心臓は動かなくなるので、心臓のポンプ機能が大幅に落ち込みます。

 

ポンプ機能が低下すると、全身に十分な血液を送り込めなくなり、『心不全』という状態になります。

 

重症の心不全では、ショック状態となり、血圧が急激に低下し命に関わることが出てきます。

 

次に、『不整脈』が考えられます。

 

不整脈の中にもたくさんの種類がありますが、心筋梗塞に伴い、しかも命取りになる不整脈に『心室細動』という不整脈があります。

 

心室細動を起こすと一瞬で心臓が止まってしまい、命を落とします。

 

この不整脈は心筋梗塞を起こしてすぐに出現することもあり、心筋梗塞による突然死の主な原因の一つです。

 

心室細動を起こした時にはAEDという機械で除細動を行うことで一命を取り留めることが可能です。

 

他には心臓に穴が開いてしまう『心破裂』など重篤な合併症がいくつもあります。

心筋梗塞を起こすと・・・

急性心筋梗塞は突然の胸痛で発症すると言われています。

 

その症状は激烈で時には嘔吐を伴い、冷や汗を大量にかく、など尋常ではない症状が出ます。

 

しかし、一方で高齢者の方や糖尿病の方などは、激しい胸痛を感じず心筋梗塞を起こすことがあります。

 

ですから、強い症状がなくても何らかの胸部違和感があれば循環器の医師がいる病院へ受診する必要があります。

心筋梗塞の検査

心筋梗塞で最も重要なので心電図です。

 

心筋梗塞特有の心電図異常を呈するために、ほぼ診断が付きます。

 

しかしながら心電図で心筋梗塞が判断できるのは8割程度と言われています。

 

つまり、残りの2割は心電図では判断できないのです。

 

心筋梗塞が疑われるときに、心電図以外で有効な検査が心臓エコー検査です。

 

心臓エコーでは心臓の動きが手に取るように分かるので、心臓のどの部分が心筋梗塞を起こしたか、一目瞭然です。

 

しかし、この心臓エコー検査は卓越した技術がないと、心臓の動きの悪い部分を見落としてしまうことになりかねません。

 

そこで、心臓エコーに精通した検査技師の存在が欠かせません。

 

もう一つ欠かせないのが血液検査です。

 

心筋梗塞を起こすと、心臓の栄養を送る血管(冠動脈)が詰まってしまうので、その先の心筋の組織の一部が壊死してしまいます。

 

その壊死した細胞から流れ出た物質を血液検査で計測できるのです。

心筋梗塞を予防するために

では、心筋梗塞を予防するためにはどうすればよいのでしょうか?

 

何よりも大切なのは生活習慣です。もはや言うまでもないことですよね。

 

高血圧や脂質異常症、糖尿病の管理、肥満や運動、喫煙などのコントロールが不可欠です。

 

いわゆる動脈硬化を防ぐことが大切です。

 

もう一つは、しっかり検査を受けるということです。

 

胸がおかしいな?と感じた時に心臓のせいなのかどうなのか?これを専門医に相談してください。

 

特に、高血圧などの生活習慣病を抱えている人は、定期的な動脈硬化チェックの検査が必要です。

【公式サイト】医学博士 杉岡充爾