こんな危険がタバコと関係していた
タバコは多くの病気と関係しています。
代表的な病気が肺ガン、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器(肺)の病気です。
タバコを吸うことで、肺にたくさんのダメージが蓄積されていきます。
しかし、このダメージは相当進まないと症状として出てきません。
痰(たん)が全然切れない、
ちょっとした運動などの動きで動悸や息切れが増えてきた、
自分では苦しくないのに人から苦しそうですね、
と言われる。
こういった症状は明らかな肺の機能低下、気管支の機能低下を表します。
ここで禁煙を始めないと、将来は在宅酸素療法(酸素ボンベがないと生活できない状態)となってしまいます。
タバコの害は肺だけではありません。
血管や心臓にも悪影響を与え、タバコは動脈硬化を進行させます。
その動脈硬化が心臓を驚かすと心筋梗塞を起こします。
最近は若い人の心筋梗塞が増えていますが、実はそのほとんどの人が喫煙者です。
動脈硬化が頭に起き、頭の血管が詰まれば脳梗塞、足にきて、足の血管が詰まれば閉塞性動脈硬化症やバージャー病となります。
また、衝撃的な結果もあります。
それはタバコを吸っている人は吸わない人に比べ、寿命が約10年も短いというものです。
単に健康状態が悪くなるだけでなく、実際に寿命も短くなってしまうのです。
タバコは肌にも害を及ぼします。
しわの増加、ハリの低下などから実年齢よりも老けて見られる、いわゆる老化現象が現れます。
それ以外にも多くのガン、うつ病、骨粗鬆症、胃潰瘍などにも関係していると言われています。
禁煙してみたけれど・・・
カラダに良くないからと、一念発起して禁煙した。でも、気付いたら最近体重が増えてきたような・・・。
禁煙に成功された方の中で、食べ物が美味しくなってきたという言葉を言われる方がいらっしゃいます。
タバコを止めたことで味覚がよみがえったのでしょうか?
それはそれでとても良いことなのですが、いかんせん食欲が増えてしまい、結果的に体重オーバー。
また、タバコを我慢する代わりに何かを常に口にしているうちにそれが習慣になってしまうケースも。
「先生、逆にタバコを吸っていた方が良かったんじゃないでしょうか?」ういうように不安を口にする方さえもいらっしゃいます。
では、タバコを吸い続けていることと、禁煙したけれども体重が増えてしまった場合と、どちらが良いのでしょうか?
禁煙後の体重増加と心臓病の関係
2018年8月のNew England Journal of Medicine誌に掲載された論文についてお話します。
『Smoking Cessation,Weight Change,Type 2 Diabetes,and Mortality』
というタイトルで、日本語では、『禁煙、体重変化、糖尿病、そして死亡率』となります。
この論文によると、禁煙に成功した人(禁煙後2年~6年)の糖尿病リスクは、現在喫煙している人に比べて1.22倍高かったそうです。
そしてそのリスクは禁煙後5~7年をピークに徐々に減少するとも書かれています。
一方で、禁煙者と喫煙者の心臓血管病による死亡リスクを比較した場合、
禁煙後体重が増えていなければリスクは69%も減少、
5キロまでの体重増加だと死亡リスクは47%減少、
10キロまでの体重増加だと死亡リスクは25%減少、
10キロ以上の体重増加でも死亡リスクは33%減少していました。
結論として、禁煙後の大幅な体重増加に伴って一時的に糖尿病にかかる人は増えたけれど、心臓血管死亡率を低下させるという禁煙の最大のメリットは、体重増加に関わらずしっかりと残っていたということでした。
太りだしたから禁煙を止めよう、というのは再喫煙の理由にはならない、ということですね。
禁煙外来へ
禁煙の意思は固いのに、どうしても途中で失敗してしまう場合、禁煙外来を利用する手があります。
これは病院やクリニックで薬を処方する3ヶ月のプログラムです。
メカニズムは簡単に言うと、薬の効果で脳を禁煙したくなる状態へ自然と移行させていくというものです。
そして、禁煙外来のメリットは単に薬の効果だけではなく、あなたの禁煙を応援してくれる医師や看護師などがいるということです。
人から応援されるだけで、そのタスクの成功率は大幅に高まると言われています。
禁煙したいけれど、一人ではうまくいきそうにないなと考えているのであれば、ぜひとも禁煙外来を利用することをお勧めします。