皮膚の新陳代謝が低下すると皮膚は弾力性が低下して薄くなり、弱くなった皮膚は傷付きやすく傷も治りにくくなります。かゆみのために皮膚が傷つくほど引掻く方もいて、ばい菌が入ったり床ずれが悪化すると命にかかわる危険も出てきます。
スキンケアの要点は二つ、
保湿で皮膚を乾燥から守ること、
そして刺激を除去して皮膚を保護することです。
皮膚の乾燥を防ぐには保湿力のある伸びのよいクリームやローションを1日2回、あるいはそれ以上塗布します。
入浴後30分以内の塗布は、保湿効果を高めます。
皮膚を守るには掻かないことはもちろんですが、強くこすらないことも大切です。
傷付けないだけではなく、強くこするとせっかくのバリアまではがれてしまいますので、滑らせるように優しく洗うことが大切です。
石鹸も使い過ぎないよう注意しましょう。
おむつ使用時は皮膚のふやけや汚れによる刺激から皮膚を保護する、撥水クリームなどを塗布します。
皮膚の保湿剤や保護剤の選び方は、かかりつけ医や薬局で相談することをお勧めします。
最後に入浴時の注意ですが、長時間の入浴や熱いお湯での入浴は、皮膚の水分保持機能が低下し皮膚の乾燥を助長しますので、要注意です。
お湯の温度はぬるめにして優しく体を洗い、ご自宅では保湿成分を含んだ入浴剤などの工夫も必要です。
入浴は体が温まって血行がよくなり、日々の疲れを取り、体と心を癒やしてくれます。
しかし、「お年寄りに一番風呂は良くない」という言葉があります。
一番風呂では浴室は湯気で温まっておらず、お湯の温度は高い上にムラがあるために、体力が落ちた方やお年寄りには良くないという先人の知恵ですが、これが正にヒートショックの本質です。
日本の家屋は居間と風呂場は離れていることが多く、特に冬には暖かい居間から寒い廊下や脱衣所で急な温度変化が起こります。
風呂蓋は閉まっていると浴室内の温度も低いままです。この状態で浴槽に入ると、今度は体温が急上昇します。
また、入浴後に寒い脱衣所や廊下に戻る時のも急な温度の変化が起こります。
このような急激な温度変化に伴う健康被害をヒートショックと呼び、心筋梗塞や脳梗塞、脳出血など、命に係わる病気を引き起こします。
また、体温の急激な変化で血圧が大きく変動し、その結果、意識を失い溺死することもあります。
ヒートショックは冬に多く、65歳以上の高齢者や糖尿病などの生活習慣病の方、飲酒後の入浴は特に注意が必要です。
ヒートショックを防ぐには急激な体温変化を避けることが肝要です。
脱衣室や浴室の暖房、風呂蓋を開けてお湯を沸かす、かけ湯で体を慣らしゆっくりお風呂に入ることなどを心がけて下さい。
飲酒後や食直後の入浴は控え、入浴前には血圧を測ることもお勧めします。
また、入浴時にはご家族に声掛けすることも、もしもの急病への良い対策となります。
銭湯は、脱衣所は空調があり浴室は湯気が立ち込め暖かく、ヒートショック対策は十分に取られ、実際に銭湯では事故が少ないのです。
もし、事故が起こっても、銭湯のスタッフやお客さんがすぐに気付きます。
銭湯はヒートショック対策も充実し、身も心も極楽です。