【ウェルネスライフ】(後編)自粛疲れを回避する!赤ちゃんから学ぶ『笑いの処方箋』

ウェルネス研究の第一人者である、琉球大学の荒川雅志教授によると、「ウェルネス」とは、『身体の健康、精神の健康、環境の健康、社会的健康を基盤にして、豊かな人生をデザインしていく、自己実現』と提唱されています。 そんな「ウェルネス」な生き方に欠かせないもの。それが「笑う」という行為です。「笑うこと」はストレスの多い現代社会を乗り切る、最高の処方箋にもなるのです。
2021/05/08

あなたは1日何回笑っていますか?

「笑うこと」は病気の予防や健康増進にも、多大な効果がある一方で、私たちは何かに悩んだり、先が見えない状態が続くと、「笑うこと」を忘れてしまいがちです。

 

「笑い」は年齢を重ねるごとに減っていく傾向にあるのだそうです。

 

心理学の研究では、一般的な就学前の子供が一日に笑う回数は平均400回と言われていますが、20代~50代の日本人女性800名に対して、一日何回くらい笑っているかを調査した結果、成人女性の笑顔の回数は一日平均約13.3回、時間に換算すると推計一日あたり30秒未満となり、 子供の笑顔の回数400回と比較して、30分の1以下となったそうです。

 

各年代別に比較すると20代30代が約15回・30秒であるのに対して、40代では12.8回・26秒、50代では10.6回・20秒と、20代をピークに年代を経る毎に回数・時間ともに減少していきました。

 

さらには、40代以上の男性で週に1回も笑わない人が5人に1人以上という調査結果もあります。

 

あなたが1日何回笑っているでしょうか?

 

笑うことを忘れていませんか?

赤ちゃんに学ぶ「笑う」戦略

赤ちゃんはお母さんのお腹の中にいる時や新生児の頃でも突然にっこり笑うことがあります。

 

これは「生理的微笑」と呼ばれ、「天使のほほえみ」とも言われます。

 

通常、「笑い」はうれしい・楽しいなどの感情や周囲とのコミュニケーションから引き起こされるものです。

 

しかし、生理的微笑は情緒に関係なく現れます。

 

まだ表情筋を自由に動かすことができないので、笑っているような表情になるのは、反射神経の働きによるもので、本能的な反射のひとつとして考えられています。

 

生まれたばかりの赤ちゃんは、両親に世話してもらわなければ生きていくことができません。

 

そのことを本能的に分かっているので、少しでもかわいいと思ってもらうために、笑っているような表情を作り出しているのではないかとも考えられています。

 

つまり、「笑うこと」は、赤ちゃんにとって、無条件に受け入れられ、世話をしてもらうための「生存戦略」なのです。

 

赤ちゃんだけでなく、大人にとっても「笑う」ということは、人との関係を築く上で重要な役割を担っています。

 

あいさつの時に笑顔になるのは、相手に対して敵意を持っていないことを表しているサインであり、「一緒に笑う」というのは、優劣を競い合ったり格好をつけ合ったりする関係にないことを表しています。「笑うこと」によって、人と人との緊張状態を緩和し、親密な関係を築きやすくなります。

 

自分が「笑うこと」は、相手を笑顔にします。

 

さらに、その相手の笑顔が、自分に笑顔や幸福感をもたらし、好循環になるだけでなく、その周囲の人にまで笑顔が連鎖していくのです。

 

それを一番実践している赤ちゃんから学べることがたくさんあるのではないでしょうか。

笑いのある生き方をする

「笑い」が日常生活から消える理由は、面白いと感じることや好きだと感じることが減ったり、忙しさや様々な悩み、ネガティブなニュースなどに心を奪われ、無意識の内に「笑うこと」を忘れてしまうからです。

 

笑いのある生き方をするための3つの方法をご紹介致します。

①人と会話する機会を増やす

人が交流する場には笑いが生まれやすくなります。

 

富山国際大学現代社会学部の大谷孝行教授が、富山県内で10~70代以上の男女にアンケートを行った結果、笑いを取り入れるために必要なものとして最も多かったのは「人との会話」が82%、次いで「テレビ」が 75%でした。なお、どの年代においても「人との会話」が「テレビ」を上回る、という結果がでました。

 

笑いにあふれた生活を送るためには、「身近な人との関わり合い」が欠かせないということがわかります。

 

コロナ禍で、身近な人と会えない状況も続いていますが、意識的に、大切な人と電話やビデオ通話などの機会を増やしてみてはいかがでしょうか。

②よく笑う人の近くにいる

笑っている人や微笑んでいる人を見ると、自分も笑顔になるという経験をされたことがあるかもしれません。

 

実は、「笑い」は、脳の働きによって伝染するものなのです。

 

これは脳内の「ミラーニューロン」の作用と考えられています。

 

もしもあなたがどうしても笑えないときには、よく笑う人の近くにいることをおすすめします。

③作り笑顔から始める

日常生活の中で「笑い」を増やすのはなかなか難しいことかもしれません。

 

そんな方に実践してほしいのが「作り笑い」です。

 

実は、自然に笑っている時でも作り笑いでも、笑いによる効果は変わらないのです。

 

口角をあげてニッと笑顔をつくるだけで、表情筋が動き、その情報が脳に伝わって、脳は「自分は笑っている」と勘違いし、幸せホルモンが分泌されたり、ストレスホルモンが減少するそうです。

 

脳は笑っていると錯覚するらしいのです。

 

また、自分から笑うことで、その場を和ませたり、笑いが返ってくることも多くなります。

 

「笑うこと」は、周りの人に対する思いやりでもあるのです。

 

マスク越しでの会話も多いご時世ですが、マスクの下ではなるべく口角を上げるように意識してはいかがでしょうか。