このバリア機能には皮膚の水分蒸発を抑え、水分を保ち、水分を補給する三つの機能があり、これが低下すると皮膚は乾燥し、かゆみを生じやすくなります。
加齢により新陳代謝が低下していますので、皮膚の弾力性が低下して薄くなり、傷つきやすく治りにくくなります。
高齢者の湿疹では、かゆくなった乾燥肌を引掻いて傷つくことから始まることが多いのです。
入浴は全身の血流をよくして体を温め、皮膚を清潔に保つ効果がありますが、高齢者では皮膚をよりいい状態を保つために、以下のような注意が必要です。
まずは、熱いお湯での入浴は皮膚が乾燥しやすくなりますので、お湯の温度はぬるめとし、長時間の入浴や頻回な入浴は避けましょう。
保湿成分の入った入浴剤を使うこともよく、石けんは刺激の少ないものを使い、泡ですべらせるように柔らかく洗い、皮膚を傷つけないようにしましょう。
かゆいからといって強くゴシゴシ洗うのは禁物で、皮膚のバリアを自分で弱くしてしまいます。
そして、石けんで洗った後はしっかり流して、石鹸の成分が残らないようにします。
入浴後は早く体を拭いて、汗が引き始める30分以内を目安に保湿剤を全身に塗りましょう。
背中など手が届きにくいところは、ご家族に手伝ってもらうといいでしょう。
入浴後は皮膚の角層が柔らかくなり、肌の水分浸透・吸収力が高まっていますので、保湿剤を塗るには最適なタイミングですし、保温効果もあります。高齢者のお肌は敏感です。
お風呂に入るときは、皮膚に優しく保湿に努めることで、快適な入浴を楽しみましょう。