株価の短期的な変動は予想困難
株価の短期的な動きを予想する事は困難です。
今日から明日にかけて企業の価値が変化するわけではありませんから、株価が上がるか否かは、「今日から明日にかけて、人々が上がると思って株を買うのか、あるいは下がると思って株を売るのか」にかかっています。
「人々が株価が上がると思うか下がると思うかを予想する」のはカジノのルーレットで赤が出るのか黒が出るのかを予想するのと同じくらい難しいですね。
別の説明も可能です。今の株価が今の値段なのは、値上がりすると思って買い注文を出しているプロと値下がりすると思って売り注文を出しているプロの数が同じだけいるからですね。
そんな時に一般人が株価を予想しても、当たる確率が5割を上回るとは思われないでしょう。
株価の短期投資は原則として投機的
カジノよりも株式投資
「株を買っても売っても5割以上の確率で勝つとは思われないけれども、それがわかった上で、楽しみのために株を買う」、というのであれば、悪いことではありません。
値上がりした時の事を想像してワクワク出来ますし、カジノのルーレットで赤や黒に賭けるよりは、期待値が高いですから(理由は拙稿を御参照下さい)。
ただ、くれぐれも小遣いの範囲内で遊んで下さい。大切な老後資金を賭けるような事をして失敗すると、悲惨な老後が待っているわけですから。
株式の長期投資は付加価値の分け前を狙うもの
株式の長期投資は、短期投資と全く性格が異なるものです。長期投資は、会社の一部を所有する事によって、会社が生み出す付加価値の分け前に与かろう、という行為だからです。
会社は、株主から資本を集め、銀行から借金をし、労働者を雇い、材料を仕入れて製品(財またはサービス)を生産し、これを販売します。売上高から仕入れ代金を差し引いた値は付加価値と呼ばれ、要するに会社が生み出した価値という事になります。
それが、労働者への賃金、銀行への金利、株主への配当という形で分配されるわけですが、分配されなかった分は企業の内部留保となり、これも最終的には株主のものとなります。
株を全部持っているオーナー社長は、投機をしているのではなく、投資をしています。その結果として会社が生み出した付加価値の一部を受け取っているのです。株の一部を持っている投資家の立場も、それと同じです。オーナー社長と持ってる株の数が違うだけの事ですから。
株式の長期投資は会社の将来を考えて
日々の値動きも、長期で見るか、短気で見るかで変わってくる
株式の短期投資では、会社の事を考えるよりも他の投資家の事を考える事が重要ですが、長期投資では会社の事を考えることが重要です。
「この会社は10年後も存続していて、利益を稼ぎ続けているだろうか」
「この会社は10年後は今より成長しているだろうか」
といった事だけを考えましょう。
他の投資家が何を考えようと、成長する会社の株価は長期的には(配当金を含めて考えれば)値上がりしていきますから。その意味では、短期投資より長期投資の方が遥かに楽でしょう。
もちろん正しく予想するのは容易ではありませんが、一応予想の根拠となる材料はたくさんあるわけですから。
小遣いは短期投資、老後資産は長期投資
上記のように、短期投資は投機に近く、長期投資は投機より投資そのものに近いですから、短期投資は小遣いの範囲で遊ぶ程度にとどめ、老後資金などは長期投資でじっくり育てましょう。
くれぐれも、老後資金で投機をしない事が重要です。
老後資金は「儲ける」より「酷い目に遭わない」
投資というと、「儲けるため」と考える人が多いのですが、筆者が株式投資を勧める最大の理由は「酷い目に遭うのを避けるため」です。インフレになると、銀行預金は目減りしてしまいますから、銀行預金もリスク資産なのです。
したがって、「預金も株も外貨もリスク資産なのだから、分散投資をして、それぞれを少しずつ持てば、何が起きても最悪の事態は避けられる」と考えて、株式の保有を勧めているわけです。
人生100年時代。先はまだまだ長いのに、人生後半(定年後、老後)に酷い目に遭わないため、という事であれば、一つの銘柄だけではなく、複数の銘柄の株式に分散投資をしましょう。初心者は、投資信託を使うのが簡単でしょうね。それから、一度に買わずに時間をかけて少しずつ買いましょう。
一度に大量に買うと、たまたま翌日に株価が大暴落した、といった目に遭う可能性が出来てしまうので。
今回は、以上です。なお、筆者は長期投資をお勧めする立場ですが、最終的な御判断は御自身でお願いします。投資は自己責任ですから。